Light Fantasia

オウカという国には各国から腕自慢が揃う冒険者組合がある。
名(迷)物補佐官でありながら冒険者でもあるファニィ、美貌の怪力美女ジュラフィス、
健気で超天才児のコートニス、生真面目で世話やき基質のタスク。
凸凹四人組が織りなすハチャメチャファンタジー!


       3

 遅い。
 あたしはタスクの持ってきてくれたサンドイッチを食べ終え、お豆のお茶も飲み終えていた。
「迷ってんのかな、あいつ……」
「心配なら見てくればどうだ?」
 元締めが優雅にお茶をずずーっと啜っている。そんな悠長な事してる場合じゃないでしょ。夕方提出の書類はまだ半分も終わってないんだから。
「もーっ。世話が焼けるわね! ちょっと行ってくるわ」
 あたしが執務室を出ると、やたら薄着で珍しく髪も後ろで一つに纏め、重たそうなキャリーを引っ張っているコートと出くわした。
「あらコート。あんた工房じゃなかったの?」
「あ、はい。工房は今、空調が壊れていて、修理のための部品を探しに倉庫にいました」
 なるほど。それで薄着なのね。空調が壊れたって事は、工房はかなり熱くなってるって事だし、それに倉庫は埃っぽいから服が汚れるし。
「じゃあ入れ違いか。コートにこっち手伝ってもらおうと思って、タスクを工房にお使いに出しちゃった」
「えっ!」
 コートが両手で口元を覆って青い顔をする。
「どうしたの?」
「い、今、工房はとても危険なんです! あの、あのっ……空調が利かなくなってしまった原因は、地下への螺旋階段の一部が折れて、伝声管に沿って設置していた外気を取り込むダクトを壊してしまったからなんです。だから地下に降りる階段から修理しないと工房へは……」
 さぁっとあたしの顔から血の気が引く。
「ちょ、ちょっとそれって……何も知らないタスクが階段降りたら、折れた階段踏み外して地下まで落っこちちゃうんじゃないの?」
 コートが泣き出しそうな顔になってキャリーを放り出す。
「お、お迎えに行ってきます!」
「待って! あたしも行く!」
 あたしはコートの手を引き、急いで地下工房の入口へと向かった。
 お願いタスク。無事でいて!

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